宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
Supported by KNCT |
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
2011/ 9/27 11:29 更新 CMEによる太陽風の乱れが到来しました。激しいオーロラの活動が発生し、大きな磁気嵐になっています。 担当 篠原 24日夜のM7.1フレアの時に発生したCMEによる太陽風の乱れがやって来ました。 ACE衛星の観測によると、26日21時(世界時26日12時)から乱れが始まっています。 磁場強度は一気に30nT近くまで強まり、プラズマの密度は40個/cm^3へ増えました。 この後、磁場強度は最高で35nTまで強まっています。 速度の変化は、初めの瞬間は小幅で、 500km/秒とぎりぎり高速風に上がった程度でした。 しかし、その後8時間にわたってゆっくりと上がり続けて、 700km/秒とかなり高い速度に達しています。 一方、磁場強度とプラズマの密度は、速度の上昇とは反対に弱まり、 磁場強度は既に10nT弱と、プラズマ密度も1個/cm^3を割るくらいになっています。 CMEの影響は地球へやって来るだろうと予想していましたが、 その2日前のX1.4のフレアでは、CMEの影響は全く見られず、 発生源の1302黒点群はまだ太陽の端に近い位置にあったため、 太陽風の乱れは比較的小規模になるのではないかと考えていました。 (昨日の記事であまり強調して書かなかったのもそのためです) しかし、速度の変化、磁場強度の強まりともに大きな擾乱がやって来ました。 これから紹介しますが、この影響で磁気圏はかなり大きく乱れています。 太陽風の擾乱の始まりでは、磁場の南北成分は北寄りでした。 このため、磁気圏への影響は限定的で、オーロラ活動などの乱れも小規模でした。 しかし、CMEによる磁場変化では良く見られることなのですが、 磁場の方向が数時間かけてゆっくりと反転し、 南北成分は強い南向きに変わります。 27日2時(世界時26日17時)には、-20nTに達しています。 この頃には、速度も600km/秒を上回るほどになり、 両方の効果が重なって、激しい磁気圏の擾乱を引き起こしました。 AE指数は、この前後で2000〜2500nTに達する猛烈な変化を記録しています。 磁気嵐も強まって、Dst指数(京都大WDC)は、 現在の速報値で-116nTまで大きく下がっています。 この激しいオーロラを捉えた写真を、 ニュージーランドの南島クィーンズタウンにお住まいのヨネト ミノル氏より頂きました。 メールの文面より、27日1時(世界時26日16時)頃に撮影された写真の様です。 非常に美しく、印象的な写真ですので、 送っていただいたそのままのサイズで掲載します。 10mm魚眼レンズによる撮影とのことで、歪んだ地平線と広い空が写っています。 左側には天の川やマゼラン雲も見えます。 地平線から立ち上がっている赤い光がオーロラです。 3枚の写真を見比べると、縦の光の筋のたなびき方が少しずつ変わっています。 地平線近くの黄色い光は雲です。 赤いオーロラは、緑のオーロラよりも高い所で光っています。 オーロラ帯から少し離れたニュージーランドから見ているので、 より高い空に光る赤いオーロラが目立っている様です(ヨネト氏の解説をどうぞ)。 また、擾乱が激しいため、極域のオーロラの光り方も普段とは違っているようです。 時差の関係で、ニュージーランドよりも少し遅れた27日7時(世界時26日22時)頃の撮影ですが、 南極の昭和基地のオーロラを次に紹介します。 AE指数を見ると、激しさは一段落ついてしまっていますが、 天のはるか上から降り注いで来るような赤いオーロラが目立っています。 普段紹介している昭和基地のオーロラの様子とは一味違った見え方です。 この赤い輝きをニュージーランドからヨネトさんが撮影されたのでしょう。 素晴らしい写真をどうもありがとうございます。 もう1枚、静止衛星のGOESの磁場データも紹介します。 太陽風の強い南向き磁場によって、磁気圏の磁場がどんどんはぎ取られ、 磁気圏の境界が縮まって、GOES衛星が磁気圏の外側に出てしまいました。 磁場のグラフが、瞬間的にマイナスの方向に振れている所です。 今回は2回発生しています。 また、赤線のグラフではっきり見ることができますが、 その前に急に磁場が強まって、150nTの線を超えている部分があります。 これは、太陽風の圧力が高まったために、 磁気圏が圧縮されたことによる増加です。 潰されたり、はぎ取られたり、 磁気圏も激しく変動していた様子を見ることができます。 現在の太陽風は、既に速度は下がり気味で、 CMEによる太陽風の乱れは後半に入っているようです。 磁場強度も8nTくらいに落ち着いていることから、 この後は特に激しい乱れが起きることはないでしょう。 今日いっぱいくらいで今回の擾乱は一段落となるでしょう。 その後は、昨日のニュースで紹介したCMEの影響が追いかけてくるかもしれません。 ただ、今日の様な大きな乱れが来ることはないでしょう。 一方、放射線帯の高エネルギー電子の変化はこれからです。 強い磁気圏の擾乱を受けて、大きく増加する可能性があります。 今後の変化に注意してください。 太陽のフレア活動は次第に低下しています。 GOESのX線のグラフを見ると、Mクラスの変化も発生していますが、 グラフ全体が下がって変化も乏しくなっています。 可視光写真では、1302黒点群はまだまだ大きな姿を保っています。 フレア活動はこれで終わりなのか、 一休みの後、再び活発化するのか(このパターンもよく見られます)、 引き続き注目してください。 今日はかなり長文になりました。 (^_^;; ニュージーランド南島クィーンズタウンで27日1時(世界時26日16時)頃撮影されたオーロラ。 (c) ヨネト ミノル ニュージーランド南島クィーンズタウンで27日1時(世界時26日16時)頃撮影されたオーロラ。 (c) ヨネト ミノル ニュージーランド南島クィーンズタウンで27日1時(世界時26日16時)頃撮影されたオーロラ。 (c) ヨネト ミノル 南極の昭和基地の全天カメラ画像。今日は赤いオーロラが目立っています。 (c) 国立極地研究所、(動画加工 : 宇宙天気ニュース) 太陽風の乱れにより、GOES衛星は一時的に磁気圏の外側に出ていました。 (c) NOAA/SWPC Dst指数は-116nTに達しています。 (c) 京都大学WDC SDO衛星のAIA193カメラによる太陽コロナの様子 (c) SDO (NASA) SDO衛星による太陽の可視光写真。マウスの矢印を写真に重ねると、黒点番号付きの写真に切り替わります。 (c) SDO (NASA) ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SWPC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 27日の太陽周期に合わせたデータプロット 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) 作図:宇宙天気ニュース
(c) NOAA/SWPC GOES衛星の太陽X線データ (c) NOAA/SWPC GOES衛星の太陽放射線データ (c) NOAA/SWPC | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
宇宙天気ニュースは、 鹿児島工業高等専門学校にWebサーバを設置しています。 |