宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2007/ 5/25 08:29 高速の太陽風がやって来ました(650km/秒)。磁気圏のオーロラ活動もたいへん活発です。
2007/ 5/26 12:09 たいへん高速の太陽風が続き、磁気圏活動も活発です。放射線帯の高エネルギー電子が、かなり強まっています。
2007/ 5/27 10:46 太陽風はたいへん高い速度を保っています(650km/秒)。地球は次第に高速風から抜け出して行くでしょう。
2007/ 5/28 10:45 高速の太陽風が続いています(600km/秒)。放射線帯が強まっています。
2007/ 5/29 10:20 太陽風の速度は下がり、磁気圏も穏やかになっています。放射線帯は強まったままです。
最新のニュース

2007/ 5/30 10:41 更新
太陽風は通常の速度で、磁気圏も穏やかです。

担当 篠原

太陽風の速度(ACEの黄色線)は、430km/秒から390km/秒へやや下がりましたが、
通常の速度レベルでほぼ安定しています。
磁場強度(白線)は2nT。
南北成分(赤線)も+2nTと-2nTの間で、小さな変化をしているだけです。

太陽風が穏やかなので、磁気圏も穏やかです。
シベリア磁場データには、ごく小さな変化が見られている程度です。
この変動は、AE指数では200nTの小規模変動として記録されています。

このまま太陽風は更に速度を下げて、低速風へと変わって行くでしょう。
磁気圏活動も穏やかに推移します。


そして、6月3日あたりから、次の高速太陽風がやって来ると予想されます。
発生源のコロナホールは、STEREOの太陽写真で中心からやや下がった位置に見えています。

今度やって来る高速太陽風は、長い期間で見ると、
到来の時期が少しずつ遅れているという特徴があります。
今日の2枚めの図で、過去5周期の太陽風速度の変化を紹介します。

太陽は、地球から見ていると約27日で一回転します。
そのため、太陽風の変化もまた、27日周期で似た変化を繰り返す特徴があります。
それを利用して長期予想を立てるのが、27日周期の図です。

今日掲載している図を見ると、面白いことに、
太陽風速度の山が1周期ごとに1日程度どんどん遅れています。
周期性がずれていくこと自体は普通に見られることですが、
この様に安定してずれていくと、今回はどうなるだろうかと興味をそそられます。

高速風の起源となっているコロナホールは、ゆっくりと場所や構造が変化していきます。
その変化の結果を高速風の変化として見ていることになります。

ちなみに、前回、5月7-9日の高速風では、
速度が500km/秒以上になったのは、2日間だけでした。
高速風の規模がどうなっているかも注目してください。


放射線帯の高エネルギー電子は、高いレベルで安定しています。
衛星の運用などでは、引き続き警戒が必要です。

太陽では、958黒点群が新しく東の端から姿を現したそうです。
規模は小さいので、太陽のフレア活動は穏やかなままでしょう。
掲載の太陽写真は、昨日と同じものです。
しかし、目をこらしてみると、東の端(左端)やや下寄りに、かすかに黒点の姿が見えている様です。




STEREO衛星紫外線望遠鏡EUVI195の太陽写真。30日7時(世界時29日22時)
(c) NASA


太陽風速度の、27日周期変化。過去の5周期です。速度の山が、少しずつ遅れています。
(c) 宇宙天気ニュース


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



シベリアで観測された3日間の磁場データ
右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。