宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/11/ 5 11:08 太陽風の速度がやや上がる、小さな乱れが来ました。
2006/11/ 6 16:42 921黒点群で、小規模フレアが2回発生しています。
2006/11/ 7 10:22 C8.8の小規模フレアが起こりました。東の端から活動的な黒点群が上がってきそうです。
2006/11/ 8 10:42 太陽の東端で活発なフレア活動が続いています。明日以降、回帰性の高速太陽風がやってきます。
2006/11/ 9 13:55 太陽の東端から923黒点群が上がって来ました。太陽風は低速で(280km/秒)、磁気圏はとても穏やかです。
最新のニュース

2006/11/10 12:55 更新
高速太陽風がやってきました。速度は500km/秒を超えています。磁気圏の活動も活発に発生しています。

担当 篠原

高速太陽風がいよいよやってきました。
9日21時(世界時9日12時)に、太陽風の密度(ACEの橙色線)と速度(黄色線)に飛びが発生していますが、
そこから速度がゆっくりと上昇を始めています。
それまで300km/秒を切るくらいに低速になっていたのですが、
半日ほどを経過して、現在は520km/秒に達しています。

太陽風の磁場強度も、速度の飛びと同じ頃から強まり始め、
10日3時(世界時9日18時)には20nTにまで強まりました。
かなりの強度です。
この状態は4時間ほど続き、現在は10nTから15nTの間で大きく変化しています。
磁場強度としては、依然大きな値です。

磁気圏への影響を決定する、太陽風磁場の南北成分は、
磁場の強まりとともに、南を大きく向く傾向が続いていました。
ACEの図を見ると、8時間ほどの間、
最大で-15nTに達するほどの大きな南向きの傾向が続いています。
このため、磁気圏はかなり活動的になりました。
オーロラの活動度を示すAE指数は、1000nTを超える大きな変動が記録されています。
また、磁気嵐も発生しているようです。
沖縄の磁場データでは、最大になった値から-70nTほど一気に下がっています。
世界的な観測でも、磁場強度が-100nTほど下がっていて、
中規模の磁気嵐になっている様です。

ただし、ここまでの変動は、磁場がかなり大きく南を向いたほどには、
激しい変化になっていません。
その理由は、磁場が南を向いた頃の太陽風の速度がまだ遅めで、
350〜450km/秒ほどしかなかったためです。
磁気圏へのエネルギーの流れ込みは、速度と南向きの磁場の強さの両方に影響されるのです。

さて、磁場強度は依然強いままですので、
高速風は、まだ最高速度に達していない可能性があります。
27日周期の図で、前回の速度変化を見ると(10月14-15日)、
速度はゆっくりと上がり続け、後半で600km/秒に達するという変化をしています。
今回も同様にとは言えませんが、磁場強度が弱まるまでは注意が必要です。
速度が上がって来ると、磁場が南を向いた時に、磁気圏の乱れ方も激しくなります。
現在はやや北寄りになっていて、磁気圏活動も一段落となっていると思いますが、
今後の変化に注目する必要があります。
高速風は3日くらい続くと予想されます。


放射線帯の高エネルギー電子は、磁気圏の乱れにともなって、
大きく減少しています。
しかし、今後、増加に転じると思われますので、明日以降の変化に注意してください。

太陽では、923黒点群が、姿を現した後はおとなしくなっていて、
目立った活動を起こしていません。
X線のグラフも基本的に静かです。
923黒点群は黒点の規模は大きいのですが、エネルギーを示す磁場構造の複雑さはそれほどでもありません。
注目していただけに、やや拍子抜けの印象です。
太陽面の向こう側でエネルギーを使い果たしてしまったのでしょうか。
しかし、しばらく休んだ後に、再び活動的になることもありますので、
当面注目しておく必要はあるでしょう。



SOHO衛星EIT284カメラの映像
(c) SOHO (ESA & NASA)

最新映像


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



シベリアで観測された3日間の磁場データ
右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) NICT



沖縄の磁場擾乱
下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。
(c) NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。