宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/ 3/ 4 08:59 太陽風速度は380km/秒。磁気圏はとても穏やかです。
2006/ 3/ 5 13:29 太陽風は速度が低下して、遅くなっています(340km/秒)、磁気圏はとても穏やかです。
2006/ 3/ 6 13:34 太陽風の速度は一段と下がり、とても低速です(300km/秒)。磁気圏はとても穏やかです。
2006/ 3/ 7 12:26 太陽風の磁場が大きく乱れ、南向きの影響でオーロラ活動が活発になりました。
2006/ 3/ 8 12:23 太陽風磁場の乱れは終わり、磁気圏は穏やかになっています。太陽で小さな長時間型フレアが発生しました。
最新のニュース

2006/ 3/ 9 12:35 更新
太陽風磁場のセクター境界が来ています。太陽風磁場に乱れが発生しています。

担当 篠原

昨日より、太陽風は概ね穏やかな状態でした(ACEの図)。
速度(黄色線)は低速で、360km/秒から320knm/秒へとゆっくり下がり、
磁場強度(白線)も3nT前後に弱まっていました。
南北成分(赤線)は南寄りの傾向が続いていましたが、
磁場強度が弱いために、南を向いても-2nT程度で、
太陽風の速度が遅いことと重なって、地球の磁気圏への影響は小さなものでした。
シベリア磁場データ、AE指数のグラフともに、小さな変化が見られている程度です。
小規模の磁気嵐が見られていた沖縄の磁場データも、静穏レベルにほぼ回復しています。

一方、ACEの図の最新の部分(右端)では、乱れが観測されています。
27日周期の図より、太陽風磁場のセクター境界が来ることが予想されていましたが、
その変化がちょうど見られている様です。
水色の線が上側から下側へ移動しています。
太陽風磁場の大まかな向きが、
「地球から太陽向き」から「太陽から地球向き」に切り替わりつつあるのです。
ただし、この変化そのものは磁気圏への影響はほとんどありません。
ポイントは、この変化に前後して太陽風が変動することがしばしば見られることです。
2〜3日前に発生した太陽風磁場の乱れも、セクター境界の直後に発生しました。

現在、太陽風は磁場強度が8nTくらいに強まっています。
これに伴って、短時間ですが-5nTの南向きが発生したりしています。
磁場強度が強まったことによって、強めの南向きになる可能性があります。
速度が遅いので、大きな擾乱になることはありませんが、磁気圏がいくらか活動的になるかもしれません。
また、27日周期の図を参考にすると、
コロナホールによる高速風が明日くらいから到来すると予想されます。
それに先立って太陽風磁場の乱れが見られると思われますが、
現在の変化はその乱れが早まったものかもしれません。
これからの太陽風の変化に注目して下さい。

太陽のフレア活動は発生していません。
黒点群は856、857の2つが示されていますが、どちらもとても小さな規模です。
このまま穏やかな状態が続くでしょう。



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



シベリアで観測された3日間の磁場データ
右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) NICT



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



沖縄の磁場擾乱
下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。
(c) NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット (太陽風版)
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。