宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2005/ 6/ 8 13:13 太陽風はやや高速状態で、オーロラ活動も続いています。太陽の黒点群が発達しています。
2005/ 6/ 9 12:53 太陽風の速度は下がり(400km/秒)、磁気圏も穏やかです。775、776黒点群が目立っています。
2005/ 6/10 11:59 太陽風は低速になっています(350km/秒)。磁気圏は穏やかです。775、776黒点群が太陽の中心に近づいています。
2005/ 6/11 11:22 太陽風は320km/秒と低速になっています。磁気圏も穏やかです。775, 776黒点群は目立った活動をしていません。
2005/ 6/12 13:02 太陽風、磁気圏ともにおおむね静穏です。775黒点群がC3.5のフレアを起こしています。
最新のニュース

2005/ 6/13 10:32 更新
太陽風が乱れ、磁気嵐が発達しています。また、明日の午後以降にも太陽風が乱れそうです。

担当 篠原

12日16時(世界時12時7時)頃から、太陽風が大きく乱れました。
最も激しく乱れているのは磁場です。
強度が25nTに一気に強まり、現在も15nTの強さを保っています。
太陽風の速度は400km/秒に小さく上がり、その後緩やかに上昇して、
13日0時(世界時12日15時)頃に500km/秒に達しました。
ただし、この速度はやや高速という程度で、大きな乱れではありません。

磁気圏擾乱に大きく影響を持つ太陽風磁場の南北成分は、
擾乱開始直後はほぼ0になっていて、南北どちらでもない状態でした。
しかし、次第に南寄りに乱れ始め、13日1時(世界時12日16時)頃から安定して強い南向きになっています。
初めに-18nTもの強い南向きになり、その後緩やかに弱まっていますが、現在も-10nTを保っています。

この影響で、磁気圏は大きく乱れました。
AE指数では最大2000nTに達する非常に激しい擾乱が発生しています。
擾乱は13日2時(世界時12日17時)頃から大きく発達しており、安定した南向きの影響が大きかったのでしょう。
Dst指数の速報値でも-100nTの変化が観測されていて、磁気嵐が発達しています。

今回は、磁場は強かったものの、速度はそれほど高速ではなかったので、
ある意味、この程度の乱れで済んでいるという言い方もできそうです。

この太陽風の乱れの原因ですが、
ひとつ考えられるのが、9日21時(世界時9日12時)頃から始まっている、C1の小規模フレアです。
この後のLASCO C3カメラの画像を見ると、とてもかすかですがCME(太陽ガスの放出現象)が見えています。
地球への到達までに約3日かかっており、速度が500km/秒程度だったこととあわせると、
このCMEが原因である可能性が高いと思います。

ACEのデータを見ると、太陽風磁場の南向き成分は緩やかに減少を続けています。
この調子では、あと半日程度で南向きが終わるのではないでしょうか。
南向きの強度が下がっていますので、磁気圏の乱れも次第に小規模になるでしょう。
南向きが終われば、磁気圏も静穏に戻ります。

さて、太陽では、775黒点群がふたたびCMEをともなうフレアを2回発生させています。
12日11時(世界時12日2時)のC3.5と、13日0時(世界時12日15時)のC3.0の小規模フレアです。
どちらも発生時間の長いタイプのフレアで、SOHO衛星のLASCO C3カメラの画像を見ると、
CME(太陽ガスの放出現象)が見えています(かすかで分かりにくいですが、写真を3枚掲載しています)。
この影響が明日の午後から明後日にかけて、地球に及ぶと予想されます。
再び、太陽風が乱れ、磁気圏が活動的になるでしょう。



SOHO衛星LASCO C3カメラの映像
(c) SOHO (ESA & NASA)

6/12 04:18 UT

6/12 06:18 UT

6/12 08:18 UT


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット (太陽風版)
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。