宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
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当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です |
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太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
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2005/ 5/15 14:08 更新 太陽風の衝撃波が到来しました。速度は1000km/秒近くに急上昇しています。磁気圏が大規模に乱れる可能性があります。 2005/ 5/15 15:47 追加 太陽風が非常に強い南向き磁場を運んでいます。これから磁気嵐、オーロラ活動が非常に激しくなりそうです。 2005/ 5/15 18:07 追加 磁気嵐が猛烈に発達しています。低緯度オーロラの発生につながるかもしれません。現在、太陽風磁場は北向きに切り替わっています。 担当 篠原 15日11時半(世界時15日2時半)、高速の太陽風が衝撃波となって地球磁気圏に到達しました。 太陽風の速度は1000km/秒近くに達し、密度も25個/cc(通常は数個/cc)に濃くなっています。 今後、太陽風磁場の状況によっては、大規模な磁気圏の乱れが発生する可能性があります。 今後の太陽風の変化、地上観測のデータに注目してください。 M8.0フレアのフレア発生以降増加していた太陽放射線(高エネルギーのプロトン粒子)の密度が、 更に増加して一時3000PFUに達しました(現在は1000PFUです)。 衛星に障害を発生させる可能性が高まっていますので、注意してください。 そして、この影響で太陽風監視衛星ACEの太陽風速度の観測ができなくなっています。 これは、太陽放射線が増加するとデータが得られなくなるという測定器の性質によるもので、 故障ではありません(太陽放射線が減少すると回復します)。 しかし、その間はACE衛星によって太陽風の状況を知ることが困難になります。 その代わりとして、SOHO衛星による観測データを掲載しています。 それまで450km/秒前後だった太陽風の速度が、15日11時(世界時15日2時)頃に急激に増加している様子が分かります。 この高速太陽風の到来の影響が、地上の磁場データにも現れています。 沖縄の磁場データをご覧ください。 図の最後の部分で、赤線が50nT程度急激に増加しているのが見られます。 これは、衝撃波によって地球の磁気圏が急激な圧縮を受け、 磁気圏内の磁場強度が急に強まったことを示しています。 ACE衛星のデータを見ると、太陽風の磁場にも大きな乱れが発生しているようです。 強度が初め20nTに強まり、現在は15nT前後で変化しているようです。 変化が激しいのか、データが散ったようにプロットされていて分かりにくいのですが、 赤線を見ると、概ね北寄りに推移しており、時々-5nT程度の南向き成分が発生しているようです。 オーロラの活動度を示すAE指数のグラフにも変化が発生しています。 2000nTに達する非常に大きな変化が見えています。 これは衝撃波の最初の部分の影響で、北極域に大きなオーロラ電流が発生したことを示しています。 今後は、太陽風の磁場がどの程度南を向くかが、磁気圏擾乱の程度を決めることになります。 速度は現在も800km/秒程度の非常に高速の状態が続いているようです。 ここで、大きな南向きが発生したり、長時間南向きが続くようだと、 強い磁気嵐が発達したり、激しいオーロラ活動が続くことになります。 逆に、北向きの状態が続くと、高速風のわりに、磁気圏は穏やかな状態にとどまるでしょう。 これから1日程度、太陽風の速度と磁場南北成分の変化に注目してください。 太陽では、758黒点群が西端の向こう側に行ってしまいました。 この没した758群がCクラスの小規模フレアを起こしています (実際には、もっと規模の大きなフレアでしょう)。 その他の群はやや落ち着いています。 しかし、759群など黒点群の規模は保たれており、今後も中規模フレアへの注意が必要です。 2005/ 5/15 15:47 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります 太陽放射線のレベルが下がり、ACE衛星の太陽風観測が回復しています。 最新データによると、現在の速度は900km/秒と非常に高速です。 15日14時半(世界時15日5時半)から、太陽風磁場が強度50nTと非常に強まっています。 しかも、-40nTととても強い南向き成分をもたらしています(最新部分は-20nTです)。 このため、これから磁気嵐が発達し、オーロラ活動が急激に活発化するでしょう。 この後、南向きが短時間で終われば、磁気圏の変化も一時的なもので終わりますが、 このまま長時間南向きが続くと、それに従って、磁気圏の活動もより大規模なものになります。 今後の太陽風の変化に注意してください。 オーロラ活動の程度を見るためには、AE指数のグラフをご覧ください。 磁気嵐は沖縄の磁場データをご覧ください。 グラフの赤線が、下へ下がるほど磁気嵐が発達していることを示します。 現在は、太陽風の強まりの影響で上に上がった状態で、まだ磁気嵐の発達は見られていません。 2005/ 5/15 18:07 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります 太陽風の強い南向き磁場の影響で、磁気嵐が急激かつ猛烈に発達しています。 沖縄の磁場データを見ると、2時間足らずの間に-350nTに達する磁場強度の低下が発生しています。 このグラフが下がるほど、磁気嵐が発達していることを示していますが、 -350nTというのは非常に激しい変化です。 このデータは沖縄だけの、局地的な観測結果ですので、 正確な磁気嵐の発達状況は世界中の広いデータをまとめなければ分かりません。 京都大学のDst(磁気嵐の発達度を示す指数)の速報値では、現時点では-300nTの変化が観測されています。 これだけ激しい磁気嵐ですので、北海道などで低緯度オーロラが観測されるかもしれません。 極域のオーロラ活動は、既に非常に激しいものとなっています(AE指数のグラフ参照)。 ACE衛星の最新データでは、現在の太陽風磁場は北向きに切り替わっています。 このため、磁気圏へのエネルギーの流れ込みは一旦停止します。 磁気嵐の発達は止まり、極域のオーロラ活動も弱まるでしょう。 ただし、太陽風そのものは荒れており、 磁場強度は約60nTと非常に強く、速度も800km/秒と非常に高い値です。 引き続き太陽風の変化に注意が必要です。 SOHO衛星が観測した太陽風の速度。 (c) SOHO (ESA & NASA), University of Maryland SOHO衛星のEIT284カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
GOES衛星の太陽放射線データ (c) NOAA/SEC ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 27日の太陽周期に合わせたデータプロット (太陽風版) 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) NICT
(c) SOHO (ESA & NASA) GOES衛星の太陽X線データ (c) NOAA/SEC 2005/ 5/15 15:47 追加 ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT 2005/ 5/15 18:07 追加 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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