宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「通信総合研究所宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2004/ 2/12 10:44 太陽風磁場が非常に強まったため、磁気圏の擾乱が激しくなりました。続いてコロナホールによる高速風が来ます。
2004/ 2/13 11:01 コロナホールのため、太陽風の速度が650km/秒を超えています。オーロラ活動も活発です。
2004/ 2/14 10:31 コロナホールの影響は続いています。磁気圏の高エネルギー電子が急増しています。
2004/ 2/15 06:51 太陽風は高速です(600km/秒)。オーロラ活動もやや活発です。
2004/ 2/16 11:12 太陽風は高速状態が続いています。コロナホールの影響から間もなく抜けるでしょう。
最新のニュース

2004/ 2/17 10:50 更新
コロナホールの影響は弱まり、太陽風の速度は500km/秒へ低下しました。

担当 篠原

GOES衛星の観測によると(1枚目の図)、
静止衛星軌道における高エネルギー電子の量が非常に高い状態になっています。
高エネルギー電子は14日から上昇していましたが、
衛星運用に障害が起こり始めると言われている10の4乗の線を
一日中越えている状態に至っています(赤線と青線)。
太陽風の速度は低下しましたが、この状態はしばらく続くと思われますのでご注意ください。

ACE衛星の観測によると、太陽風の速度は低下を始め、現在は500km/秒程度に低下しました。
コロナホールの影響を脱しつつある様です。
また、太陽風の磁場が、強度(白線)は5nT程度が続いているのですが、
南向き成分がほとんど現れなくなりました(赤線)。
速度はまだ500km/秒と高めなのですが、南向き磁場が弱くなったためにオーロラ活動はすっかり低下しています。
オーロラ活動の指標であるAE指数の変化は非常に小さくなっています。

現在、興味深い現象が起きています。ACE衛星の3枠め、橙色の線に注目して下さい。
太陽風のプラズマ粒子の密度が非常に少なくなっています。
これは15日13時(世界時15日4時)頃から始まっていたのですが、
1立方cmあたり0.1個と通常の10分の1にまで薄くなっています。

地球の磁気圏は太陽風プラズマによって常に圧力を受けています。
このため磁気圏は変形されて、太陽側は小さく潰され、
太陽と反対側は逆に大きく引き延ばされています(2枚目の図をご覧下さい)。
太陽風のプラズマ粒子が減っている現在は、この圧力が非常に弱まっている事を意味します。
直接見る事はできませんが、現在、地球の磁気圏は宇宙空間へ大きく広がっているはずです。

ひとつの資料として、GOES衛星が観測した磁場強度の変化に注目しましょう(3枚目の図)。
赤線と青線はGOES10、12の2つの静止衛星が観測した磁場の強さの3日間の変化を示しています。
図の左側半分では、赤線、青線ともに大きく50nTと100nTの間をゆっくり変化しています。
磁場が強い時は衛星が昼側に(磁気圏が太陽風で押し潰されるため、磁場が強まる)、
弱い時は衛星が夜側に(磁気圏が引き延ばされるため、磁場が薄くなる)来ている時です。
太陽風の粒子数が減った後にあたる図の右半分では、この変化の幅が急に小さくなっています。
これまで圧縮を受けていた磁気圏が宇宙空間に大きく広がって、
GOES衛星のいる辺りでは、昼も夜もあまり変わらない形になってしまったためです。

宇宙天気の擾乱に繋がる現象ではありませんが、太陽と地球のバランスも時として大きく変化するのです。



GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC


太陽風で圧縮を受けて変形している磁気圏の形
(c) NASA


GOES衛星による、静止衛星軌道における磁場強度の変化
(c) NOAA/SEC


SOHO衛星EIT284カメラの映像
(c) SOHO (ESA & NASA)

最新映像


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, CRL





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。