宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
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当時「通信総合研究所宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です |
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太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
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2004/ 2/17 10:50 更新 コロナホールの影響は弱まり、太陽風の速度は500km/秒へ低下しました。 担当 篠原 GOES衛星の観測によると(1枚目の図)、 静止衛星軌道における高エネルギー電子の量が非常に高い状態になっています。 高エネルギー電子は14日から上昇していましたが、 衛星運用に障害が起こり始めると言われている10の4乗の線を 一日中越えている状態に至っています(赤線と青線)。 太陽風の速度は低下しましたが、この状態はしばらく続くと思われますのでご注意ください。 ACE衛星の観測によると、太陽風の速度は低下を始め、現在は500km/秒程度に低下しました。 コロナホールの影響を脱しつつある様です。 また、太陽風の磁場が、強度(白線)は5nT程度が続いているのですが、 南向き成分がほとんど現れなくなりました(赤線)。 速度はまだ500km/秒と高めなのですが、南向き磁場が弱くなったためにオーロラ活動はすっかり低下しています。 オーロラ活動の指標であるAE指数の変化は非常に小さくなっています。 現在、興味深い現象が起きています。ACE衛星の3枠め、橙色の線に注目して下さい。 太陽風のプラズマ粒子の密度が非常に少なくなっています。 これは15日13時(世界時15日4時)頃から始まっていたのですが、 1立方cmあたり0.1個と通常の10分の1にまで薄くなっています。 地球の磁気圏は太陽風プラズマによって常に圧力を受けています。 このため磁気圏は変形されて、太陽側は小さく潰され、 太陽と反対側は逆に大きく引き延ばされています(2枚目の図をご覧下さい)。 太陽風のプラズマ粒子が減っている現在は、この圧力が非常に弱まっている事を意味します。 直接見る事はできませんが、現在、地球の磁気圏は宇宙空間へ大きく広がっているはずです。 ひとつの資料として、GOES衛星が観測した磁場強度の変化に注目しましょう(3枚目の図)。 赤線と青線はGOES10、12の2つの静止衛星が観測した磁場の強さの3日間の変化を示しています。 図の左側半分では、赤線、青線ともに大きく50nTと100nTの間をゆっくり変化しています。 磁場が強い時は衛星が昼側に(磁気圏が太陽風で押し潰されるため、磁場が強まる)、 弱い時は衛星が夜側に(磁気圏が引き延ばされるため、磁場が薄くなる)来ている時です。 太陽風の粒子数が減った後にあたる図の右半分では、この変化の幅が急に小さくなっています。 これまで圧縮を受けていた磁気圏が宇宙空間に大きく広がって、 GOES衛星のいる辺りでは、昼も夜もあまり変わらない形になってしまったためです。 宇宙天気の擾乱に繋がる現象ではありませんが、太陽と地球のバランスも時として大きく変化するのです。 GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化 (c) NOAA/SEC 太陽風で圧縮を受けて変形している磁気圏の形 (c) NASA GOES衛星による、静止衛星軌道における磁場強度の変化 (c) NOAA/SEC SOHO衛星のEIT284カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, CRL | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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