宇宙天気ニュース

 
当時「通信総合研究所宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です

これまでの経過
2003/12/ 1 12:31 太陽風磁場が南を向いているため、磁気圏内の活動度がやや上がっています。
2003/12/ 2 10:11 現在は静穏です。明日以降、コロナホールの影響による擾乱が予想されます。
2003/12/ 3 10:57 非常に静穏です。これからコロナホールの影響よる磁気圏擾乱が始まると予想されます。
2003/12/ 4 10:04 静穏な状態です。これから高速太陽風によって磁気圏擾乱が活発化する可能性があります。
2003/12/ 5 10:27 静穏な状態が続いています。コロナホールの影響は無かった様です。
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2003/12/ 5 15:58 更新
太陽風磁場が大きく南を向いたため、磁気嵐が開始しています。

担当 篠原

5日11時(世界時5日2時)頃から太陽風の様子が大きく変化しました。
今朝にかけて磁場強度が次第に強まっていましたが、
その後南成分が卓越し始め、その影響で磁気圏擾乱が発達を始めています。
ACEの太陽風データによると、磁場強度(白線)は20nTに達し、
5日11時(世界時5日2時)以降は南向き成分(赤線)が-10〜-15nTで継続しています。
太陽風速度(黄線)も上昇していますが、450km/秒程度に留まっており、これは通常のレベルです。

太陽風は、セクター構造と呼ばれる磁場構造が大きく異なるいくつかの領域に分けることができます。
下に参考図を示します。
円の中心に太陽があり、周囲に向かって太陽風を吹き出しています。
色の違いが太陽風の磁場構造の違いを示しています。
太陽は反時計回りに自転していますので、太陽風の構造(色のついた円)も反時計方向に回転します。
地球が一番下に青丸で示されていますが、ちょうど今、黄色の領域から紫色の領域に切り替わりつつあります。
今回の急な擾乱の開始は、この図に示されているように、
地球に当たっている太陽風の領域が切り替わったためと考えられています。

沖縄の磁場変動を見ると、5日13時(世界時5日4時)以降、
現時点(5日16時、世界時5日7時)までに-75nTの減少を示しており、磁気嵐が開始したと考えられます。
(減少幅が大きいほど、磁気嵐は発達しています)

太陽風の磁場が現在も強い南向きで推移していますので、磁気嵐は更に発達する可能性があります。
南向きが継続している間は注意が必要です。
ただし、もうひとつの重要な要素である太陽風の速度が普通レベルですので、極端な発達はないでしょう。
(太陽風の磁場南向き成分と速度の両者の大きさに依存して、磁気嵐の発達の程度が決まります。)

既にリアルタイムAE指数にも変化が現れ始めていますが、オーロラ活動も活発化すると思われます。


太陽風のセクター構造
(c) CRL


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



沖縄の磁場擾乱
下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。
(c) CRL



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, CRL





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。