宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
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当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です |
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太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
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2006/12/16 09:57 更新 大規模な磁気嵐は、終息に向かっています。今夜以降、次の高速風がやってくるでしょう。 担当 篠原 大規模な磁気嵐は、概ね終息を迎えています。 昨夜のニュースも参考にご覧下さい。 今日の1枚目の画像は、SOHO EIT294の太陽写真です。 きれいなので、大きな写真を掲載しました。 太陽の西側に、930黒点群の領域が明るく輝いているのが見えます。 930黒点群は今も大きな勢力を保っていて、 大規模フレアを起こす可能性も残されているそうです。 X線の図によると、昨日の朝、15日7時(世界時14日21時)のX1.5大規模フレア以降、 930黒点群は目立った活動を起こしていません。 しかし、X3.4から2日弱経ってX1.5を起こした様に、 大きな活動は一休みしてから起こるということも多いので、 黒点群の規模が小さくなるか、西に没して行くまでは注視する必要があるでしょう。 一方、EIT284の写真で見られる様に、黒点群は西の端へ近づいています。 地球への影響は次第に限定的なものとなっていくでしょう。 昨日やってきたたいへん高速の太陽風は、 夜の間に速度を落とし続けていたのですが、 16日5時(世界時15日20時)に600km/秒を切ったところで反転して、 現在は650km/秒に戻しています。 一時的な変化だと思われますので、やがてまた下がり始めるでしょう。 太陽風磁場は、だんだんと強度を落としています。 現在は、2〜3nTとかなり弱まっています。 磁場の南北成分は、今日の図では一貫して南を向き続けています。 磁場強度の弱まりとともに、こちらの振幅も減衰していて、 現在は、ほぼ0nTに近づいています。 昨日の強い南向きの影響で、 静止軌道のGOES衛星が磁気圏の外に飛び出してしまうという事件がありました。 昨夜のニュースでデータを紹介しています。 昨日の様な、大きな太陽風の乱れの時だけに見られる、珍しい現象ですので、 昨夜の記事もご覧下さい。 AE指数の図で見ると、図の前半は、高速風と強い南向き磁場の影響で、 かなり激しく乱れています。 この頃は、オーロラの光る領域が普段よりも低緯度側に広がってしまい、 AE指数としては正しい計測になっていません。 1500〜2000nTの変動が記録されていますが、 実際にはより激しい活動が起こっていたと考えられます。 この広がりが激しくなると、普段オーロラを見られない様な場所で、 オーロラが見える様になるのです。 太陽風の速度と磁場強度が下がるにつれて、オーロラ活動は弱まっています。 AEの最後の部分では500nTくらいの通常レベルの変動になってしまいました。 太陽風自体は、まだ十分高速ですので、磁場が南向きであれば、 通常レベルのオーロラ活動は続くでしょう。 沖縄の磁場データでは、静穏レベル(青線)から-180nTくらい下がる 大きな磁気嵐が記録されました。 最も下がったのは、15日17時(世界時15日8時)頃です。 この頃、太陽風では磁場が-10nを切り、速度も700km/秒を割って、 太陽風の乱れが本格的に弱まり始めました。 この結果、磁気嵐の発達は終わりを迎え、沖縄の磁場データは回復に向かったのです。 現在は-50nTくらいまで戻っています。 太陽風の擾乱は終息に向かっていますが、 続いて、昨日のX1.5大規模フレアによる乱れがやってくると思われます。 SOHO LASCO C3カメラでは、CME(太陽ガスの放出現象)が観測されています。 この様子では、ガスの濃い部分は南西(右下)に向かっている様です。 淡いですが、太陽全体にもガスが広がっていますので、 地球へも高速風はやってくるでしょう。 しかし、昨日ほどの乱れにはならないと思います。 到来は、今夜から明日にかけてとなるでしょう。 速度が遅めでも、磁場が大きく南を向くと、磁気圏は大きく乱れます。 高速風到来後の、太陽風の変化に注意する必要があります。 太陽放射線は、昨日のX1.5フレアで一度増加しましたが、 規模はそれほどでもなく、 10PFUから200PFUに上がった程度でした。 この点でも、フレアの規模が小さくなったことが分かります。 (黒点群の位置の問題もあるので、規模だけが理由にはなりませんが) 放射線のレベルはすぐに弱まり始め、 現在は警戒ラインの10PFUを切り、4PFUくらいに弱まっています。 一方、放射線帯の高エネルギー電子は急増しています。 高速太陽風の影響で大きく減少しましたが、その後、また一気に回復しています。 衛星の位置による変化(時刻依存性)があるために、 単純にこの図の通りの変化とはいえませんが、大筋はこのような変化だったでしょう。 現在は警戒レベルの10,000を超えて、40,000に達しています。 衛星の運用では注意してください。 明日のデータでは更に増加している可能性がありますが、 一方で、次の太陽風の乱れによって大きく減少している可能性も高いです。 ただし、その場合でも、高速太陽風通過後の再上昇に注意する必要があるでしょう。 SOHO EIT284の太陽写真。15日22時(世界時15日13時)。930黒点群が明るく輝いている。 (c) ESA & NASA SOHO衛星のLASCO C3カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点 (c) SOHO (ESA & NASA) GOES衛星の太陽X線データ (c) NOAA/SEC ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT シベリアで観測された3日間の磁場データ 右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) NICT 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT 27日の太陽周期に合わせたデータプロット 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) NICT
(c) NOAA/SEC GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化 (c) NOAA/SEC | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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