宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
|
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です |
|
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
2006/12/15 20:36 更新 [続報] 激しい磁気嵐が発生しています。オーロラもたいへん活発です。高速太陽風は弱まりつつあります。 担当 篠原 激しい磁気嵐が続いています。 お昼のニュース以降も、太陽風の磁場は振幅が弱まりつつも南向きを保っています。 現在は5nT前後になっています。 このため、磁気圏にエネルギーが流れ続け、活発な活動を保っています。 太陽風の速度は、800km/秒からゆっくり下がって、650km/秒近くになっています。 650km/秒というと、依然立派な高速風です。 コロナホール起源の高速風だと、最高速がこのくらいになっています。 AE指数のグラフは、ものすごいことになっています。 ほぼ1日にわたって、1500〜2000nTの変動が記録されています。 しかしながら、この図の後半では、磁気圏の活動が激しくなったため、 オーロラの活動域が低緯度に下がって行ってしまい、 正しいオーロラ活動の強さを測れなくなっています。 全体としては、後半の時間帯の方がより激しい磁気圏擾乱になっていたのです。 沖縄の磁場データは、お昼の図よりも更に下がって、 静穏レベル(青線)から、最高で-180nTくらいまで下がっています。 世界規模の観測点を用いて作られている京都大学のDst指数でも、 同じ程度の磁場強度の低下が記録されています。 大規模の磁気嵐になっていたようです。 弱まった磁場強度はやや回復しつつも、まだだいぶ下にあります。 このグラフの回復には数日かかります。 今日1枚目の図は、静止衛星のGOESが観測した北向き磁場強度のデータです。 普段、衛星が磁気圏の中にいる場合は、 このグラフは主磁場の向きである北(プラス)を向いたままになっています。 しかし、今日の図では、青線のGOES11のグラフが途中でマイナス方向に大きく振れています。 これは、太陽風の乱れが大きかったために、地球の磁気圏がどんどんはぎ取られ、 静止衛星が磁気圏を飛び出してしまったために起こったのです。 この時間、衛星は地球の縄張りを飛び出して、太陽風の世界に顔を出してしまったのです。 今日の様に激しい太陽風の乱れが発生したときにだけ見られる、珍しい事件です。 激しい磁気嵐をもたらした高速の太陽風は、後半を迎えています。 これからも速度は下がり続け、磁場強度も弱まって行くでしょう。 南向きが続いている間は、活発なオーロラが続きますが(依然かなり高速ですし)、 規模は次第に弱まって行きます。 しかし、これで終わりかというと、そうではなく、 次の擾乱が既に太陽を飛び出していると思われます。 今朝発生したX1.5の大規模フレアによる高速風です。 まだ、SOHOの写真が更新されていないため、 CME(太陽ガスの放出現象)の様子は確認できていないのですが、 フレアの規模から、それなりにガスが飛び出しているでしょう。 フレアの規模と、発生位置が西寄りに進んだという事で、 今日の乱れほどの激しい高速風が来る事はないだろうと思います。 しかし、磁場が強く南を向くと、速度が遅くてももっと激しい磁気嵐になることもあります。 高速風の到来は、16日の夜から17日にかけてだと思われます。 引き続き注目してください。 フレアの発生源である930黒点群ですが、 GOESのX線強度を見ると、フレアの後もある程度高い状態を保っています。 完全に弱まってしまった訳ではないように思います。 こちらも、もうしばらく注視する必要があるでしょう。 GOES衛星の磁場データ。途中で、青線がマイナスに変化しているが、これは磁気圏を飛び出してしまったため。 (c) NOAA/SEC ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT シベリアで観測された3日間の磁場データ 右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) NICT 27日の太陽周期に合わせたデータプロット 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) NICT
(c) NOAA/SEC SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点 (c) SOHO (ESA & NASA) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|