宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
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当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です |
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太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
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2006/12/15 13:51 更新 900km/秒の非常に高速の太陽風が到来しました。その後、磁場が大きく南を向き、磁気嵐が大きく発達しています。 担当 篠原 13日のX3.4大規模フレアによる高速の太陽風が、昨夜地球にやってきました。 ACE衛星の図を見て下さい。 14日23時(世界時14日14時)に、速度が600km/秒から一気に950km/秒へ増加しています。 かなりの高速風です。 速度は900km/秒で落ち着き、その後もずっと大変高速の状態が続いています。 現在は800km/秒に下がっています。 それでも、依然かなりの高速状態です。 一方、太陽風の磁場は、15〜20nTへかなり強まりました。 ただ、非常に強いというほどの増加ではありませんでした。 磁気圏擾乱に影響が大きい南北成分は、 初めは-15nTと0nTの間を振動する様な変化が4時間ほど続きました。 この影響で、極域で激しいオーロラ活動が発生しています。 AE指数では、2000nTに達する変動が記録されています。 北極では、かなり活発なオーロラが見えていたのではないでしょうか。 その後、太陽風の磁場は一旦北寄りになります。 しかし、15日7時半(世界時14日22時半)に、急に南寄りに切り替わります。 -15nTの強い南向きになり、そのままずっと南向きで固定された様になっています。 振幅としては次第に弱まって、現在は-10nT(十分大きな値です)になっています。 この変化によって、磁気圏の赤道に流れる環電流が急激に発達を始めました。 沖縄の磁場データでは、図の最後の部分で、 静穏レベルの青線から、一気に-150nTの減少が見られています。 大規模な磁気嵐が発生しているようです。 この時の沖縄は、時間的には一番変化が小幅になる位置にありましたので、 世界規模で測定すると、より大きな変動である可能性があります。 太陽風磁場は現在も強い南向きを保っているので、 磁気嵐はもう一段発達していくかもしれません。 AE指数はデータが止まっているため、この時間帯の変化は現時点では分かりません。 ただし、この規模の擾乱になると、 オーロラ帯が通常よりもずっと低緯度側に広がってしまい、 AE指数によって正確なオーロラ活動を測る事は難しくなります。 参考にシベリアの磁場データを掲載します。 1000nT規模の変動が観測されています。 さて、太陽風は現在もたいへん高速です。 しかし、コロナホールと違って、CMEの高速風は長時間続くものではありませんから、 この後はゆっくりと低下に向かうと思います。 南向き磁場も次第に振幅が落ちてきていて、 これから数時間ほどで0nT近くまで弱まりそうです。 磁気圏の大規模な乱れは、今日いっぱいは続きそうですが、 明日にかけて規模が次第に弱まって行くでしょう。 13日に起こった大規模フレアについては、このような展開が予想されますが、 今朝、930黒点群が再び大規模フレアを起こしました。 今度は、だいぶ小さくなっていて、X1.5とやっと大規模フレアになったくらいです。 発生時刻は15日7時(世界時14日21時)です。 まだSOHOの画像がありませんが、規模から考えて、 CME(太陽ガスの放出現象)が発生していると思われます。 ただ、930黒点群がだいぶ西に傾いてきているので(SOHO EIT284の写真を参照)、 地球への影響は小さめになるでしょう。 フレアとしての規模と位置的な問題から、 現在来ているほどの大きな太陽風の乱れが来ることはないだろうと思います。 ただし、ここで注意が必要なことは、磁気圏への影響を決めるのは、 速度だけではなく、磁場の強さ・向きも鍵を握っているということです。 速度はそれほどでなくても、磁場が強く南を向いて激しい磁気嵐が起こることもあります。 ですので、次の高速太陽風も到来後のデータに注意する必要があります。 高速風の到来は、16日の夜から17日にかけてだと思います。 最後に、930黒点群は依然大きな規模と、磁気的な複雑さを保っています。 今朝の大規模フレアで勢力がどうなるかが注目されますが、 引き続き注意を払う必要があるでしょう。 今日の更新が遅くなり、申し訳ありませんでした。 以後は、状況の進展に従って適宜更新を行います。 SOHO衛星のEIT284カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT シベリアで観測された3日間の磁場データ 右側の3分の1が、昨日のデータになります。グラフが上がったり下がったりすると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) NICT 27日の太陽周期に合わせたデータプロット 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) NICT
(c) NOAA/SEC SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点 (c) SOHO (ESA & NASA) GOES衛星の太陽放射線データ (c) NOAA/SEC GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化 (c) NOAA/SEC | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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