宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/12/ 8 01:06 太陽放射線の強度が1000PFUを超えました。たいへん強まっており、注意が必要です。
2006/12/ 8 11:30 太陽放射線が2000PFUに達し、たいへん高いレベルです。高速風の影響で、オーロラ活動も活発に続いています。
2006/12/ 9 12:00 930黒点群は静かな状態を保っています。太陽風の乱れで、オーロラは活発に活動しています。
2006/12/10 13:02 930黒点群の活動は穏やかになりました。太陽風の速度が再上昇して(580km/秒)、オーロラが活動的になっています。
2006/12/11 12:04 高速太陽風が続いています(600km/秒)。オーロラも活動的です。930黒点群が活動的になるかもしれません。
最新のニュース

2006/12/12 10:48 更新
太陽風がかなり高速になっています(700km/秒)。930黒点群は、現在は落ち着いています。

担当 篠原

昨日、3つのCクラス小規模フレアが発生しました。
11日10時(世界時11日1時)にC1.4、11日14時(世界時11日5時)にC2.6、
そして、一番大きいC5.7が11日10時(世界時11日1時)に起こりました。
特に、3つめのフレアのときは、
X線のバックグラウンドレベルまで強まる様な変化を示したため、
930黒点群の活動度が上がりつつあるのかもしれないと考えましたが(昨夜の追加記事)、
その後、X線の強度は下がり、現在は落ち着いた雰囲気になっています。

930黒点群の規模はまだ大きく、磁場の複雑さも強まったままとのことです。
今後も、中規模レベルのフレアを起こす可能性はあるでしょう。
黒点が太陽の中心付近にあるため、
CME(太陽ガスの放出現象)が起こると、地球へは最も効率よく影響が及びます。
フレアが発生した場合、太陽風への影響が重要となるでしょう。


太陽放射線(超高速のプロトン粒子)は、どんどんレベルを下げています。
昨日のニュースの時点では70PFUでしたが、現在は20PFUを切るところまで下がっています。
今日中に警戒レベルの10PFUを割ることになるでしょう。


太陽風が予想外に高速状態を続けています。
昨日のニュース以降速度を増し、
11日14時(世界時11日5時)には650km/秒とかなり高速の状態になりました。
高速風はそのまま安定して速度を保ち、12日2時(世界時11日17時)頃からは更に上昇を始めて、
現在は、700km/秒にまで達しています。

高速風の原因が何であるのか、検討してみましょう。
活発なフレア活動が起こしたCMEによると考えた場合、
最後のMクラス中規模フレア(M2)は8日3時半(世界時7日18時半)に起こりました。
それから既に4日を経過しています。
4日というのは、700km/秒もの高速風が来るには時間が経ちすぎていると思います。
(例えば、単純に太陽までの距離を700km/秒で割ると、2日半で届きます)
そして、X線のグラフで見る限りは、M2のフレア以降、目立ったフレア活動は起きていません。

一方、27日周期の図で前周期を振り返ると、この期間の太陽風は低速の状態でした。
ここだけ見ると、コロナホールによる回帰性の高速風でもなさそうです。

しかし、もう1周期前まで振り返ってみます。
27日周期の図
すると、10月20日から25日にかけて、高速風帯があったことが分かります。
この1年間ずっと吹き続けていた高速風なのですが、
前周期の11月に突然見えなくなってしまったのです。
あるいは、この、一旦見えなくなった高速風帯が、今回は影響を及ぼしているのかもしれません。

このように、現時点では原因はよく分からないというのが正直な感想です。
回帰性高速風が復活したのかどうかは、来月に答えが出るでしょう。


かなりの高速風が続いていますが、磁気圏活動はそれほど活発ではありません。
AE指数では、500nT前後の活動が見られている程度です。
南向き磁場がそれほど現れていないためでしょうか。
ただ、ACEの図でも2カ所ほど-5nTくらいの変化が見えているので、
速度が高いこととあわせると、もっと活発になってもよさそうなのですが。

高速風がこの後どのくらい続くのか予想が立ちません。
速度が高まっている間は、オーロラ活動が活発になりやすい状態が続きます。
太陽風磁場がより南寄りになると、現在よりももっと活動的になるでしょう。
高速風が続いている間は注意が必要です。



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr


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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。