宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/12/ 5 21:00 太陽でX9.1の非常に大規模なフレアが発生しました。今後の変化に警戒が必要です。
2006/12/ 6 12:00 X9のたいへん大規模なフレアが発生しました。フレア活動は活発に続いています。コロナホールによる高速風が始まりました。
2006/12/ 7 11:18 X6.5の大規模フレアが発生しました。太陽放射線が増加しています。高速風の影響でオーロラが活発です。
2006/12/ 8 01:06 太陽放射線の強度が1000PFUを超えました。たいへん強まっており、注意が必要です。
2006/12/ 8 11:30 太陽放射線が2000PFUに達し、たいへん高いレベルです。高速風の影響で、オーロラ活動も活発に続いています。
最新のニュース

2006/12/ 9 12:00 更新
930黒点群は静かな状態を保っています。太陽風の乱れで、オーロラは活発に活動しています。

担当 篠原

930黒点群は、静かな状態を保っています。
8日3時半(世界時7日18時半)のM2.0中規模フレア以降は、
目立ったフレア活動は起こしていません。
X線の強度は次第に下がっていて、
930黒点群の活動度は低下しつつあるのではないでしょうか。

今日の1枚目の写真に太陽黒点を、2枚目の太陽の磁場分布を掲載しています。
930黒点群の大きな姿が見えています。
この大きさだと、肉眼でも見る事ができるかもしれません。
適切な減光フィルターを使用したり、日没直前などの時に、
挑戦してみてはどうでしょうか(天候の問題がありますが)。

2枚目の磁場分布の写真では、磁場の極性の違いを白と黒で表現しています。
黒点の周囲には強い磁場が分布しています。
この構造が複雑なほど、その黒点群は大きなエネルギーを蓄えていると考えられます。
930黒点群の位置に、白と黒が濃く分布しているのが見えています。
分布の複雑さを示す指標があるのですが、
活発だった時と比べると、そのレベルが一段階下がっています。
ここでフレアがあまり起こらなくなった事と繋がっているのでしょう。

ただ、黒点群の規模としてはまだ大きく、複雑な磁場構造も見られていますので、
引き続き中規模フレアなどへの注意は必要です。


太陽放射線(太陽から飛んで来る、非常に速度の高いプロトン粒子)は、
赤線の10MeV以上の粒子としては、
8日6時(世界時7日21時)頃の2000PFUが最高レベルでした。
その後は減少に転じ、今は、250PFUくらいになっています。
しかし、警戒ラインは10PFUですので、依然注意が必要な状態です。

グラフの最後の部分で、減少が弱まっています。
あるいは、これからX6.5の影響が見られるのかもしれません。
その場合、太陽放射線が再び上昇に向かうかもしれません。


太陽風の観測ですが、太陽放射線の影響で、ACEの観測は前半は欠測になっています。
後半で正しい値になりつつありますが、まだ完全には回復していません。
ですので、今日もSOHO衛星のプロトン観測器のデータを掲載します。
これによると、図の真ん中付近、8日13時(世界時8日4時)に、
速度(1段目)の600km/秒から730km/秒への急な上昇と、
密度(2段目)の5個/立方cmから15個/立方cmへの上昇が見られています。
ここで、X9フレアのCME(太陽ガスの放出現象)がやってきたと思われます。
ACEのデータでも、ここで磁場強度が5nTから10nTレベルに強まって、
激しく強弱の変化をするようになっています。

擾乱としては、大規模なものではありません。
それまでの、コロナホールの高速風と同程度の乱れです。
磁場の南北成分の乱れは、それほど大きくはなく、
-5nTくらいの南向きが現れた程度でした。
しかし、速度が高まっている影響で、オーロラ活動は活発に発生しています。
AE指数では、1000nから最大で1500nTに達する激しい変化も記録されています。

AEの後半はややおとなしくなっていますが、
これは、太陽風磁場の南向きがだいぶ弱まったためです。

今後の展開を予想するのはなかなか難しいのですが、
コロナホールの影響はそろそろなくなると思います。
一方、X9以降に発生した、X6や中規模フレアのCMEの影響が
これからやってくる可能性があります。
突発的な乱れに対して注意をする必要があるでしょう。

放射線帯の高エネルギー電子の増加は止まっています。
昨日は、むしろ一昨日のレベルよりやや下がっています。
警戒ラインには達しておらず、しばらく様子見という印象です。




SOHO衛星による太陽面の写真。東側(左側)に大きな930黒点群が見える。12月9日5時(世界時8日20時)。
(c) ESA & NASA


SOHO衛星による太陽面の磁場分布。930黒点群の周辺で白と黒が複雑に入り組んでいる。12月9日1時(世界時8日16時)。
(c) ESA & NASA


SOHO衛星のプロトン観測器による2日間の太陽風の速度。8日13時(世界時8日4時)に、速度と密度の急な上昇がやってきた。
(c) University of Meryland


GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。