宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

リアルタイムデータ
27日周期 (NICT)
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太陽黒点 (SOHO)
太陽X線 (GOES)
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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2006/12/ 2 10:43 太陽風は磁場強度4nT、速度400km/秒と通常の状態に戻っています。
2006/12/ 3 10:43 926黒点群が小規模フレアを3回起こしています。太陽風、磁気圏は静穏です。
2006/12/ 4 10:20 太陽風は速度が遅く、磁気圏も穏やかです。小規模フレアが発生しています。
2006/12/ 5 10:38 新しい活動領域によって、小規模フレアが多発しています(最大C4.9)。太陽風、磁気圏は静穏です。
2006/12/ 5 21:00 太陽でX9.1の非常に大規模なフレアが発生しました。今後の変化に警戒が必要です。
最新のニュース

2006/12/ 6 12:00 更新
X9のたいへん大規模なフレアが発生しました。フレア活動は活発に続いています。コロナホールによる高速風が始まりました。
2006/12/ 6 19:34 追加 
活発なフレア活動が続いています。17時(世界時8時)にM6の中規模フレアが発生しました。
2006/12/ 7 09:00 追加 
[速報] 7日未明に、X6.5の大規模フレアが発生しました。

担当 篠原

昨夜、5日19時半(世界時5日10時半)に、太陽でX9.0の非常に大規模なフレアが発生しました。
Xクラスのフレアは、2005年9月以来の発生です。
過去30年間の観測でも、歴代28位という規模になります。
過去の大きなX線フレア(NICT)

発生箇所は、太陽の東の端(左の端)で、新しい活動領域が上がって来たばかりでした。
929黒点群と名付けられたこの領域が、太陽の向こう側からこちら側に上がって来ると共に、
GOESのX線グラフのレベルが上昇し、
Cクラスの小規模フレアが頻繁に発生しました。
そして、昨夜、5日17時(世界時5日8時)にM1.8の中規模フレアが発生、
続いて5日19時半(世界時5日10時半)に、X9.0の非常に大規模なフレアが発生したのです。

フレアの様子を、GOES13のX線動画でごらん下さい。
今日の1枚目に掲載しています。

たいへん残念なことに、フレア以降、X線の画像に白い横線が残っています。
この白線は今朝の画像でも残っていて、どうやらカメラに障害が残ってしまった様です。
GOES13のX線画像は、これまでのGOES12と比較すると格段に品質が向上していて、
本格稼働が楽しみだっただけに、今後の回復を期待したいところです。

フレア活動は現在も活発に続いています。
ちょうど今、6日10時半(世界時6日1時半)に、M1.3クラスのフレアが発生した様です。
今後も活発な活動が続くと予想されます。
再び、Xクラスの大規模フレアが発生することも十分考えられますので、
注意が必要です。

太陽写真では、東端にかすかに929黒点群の姿を見ることができます。
この黒点群は、先月11月10〜20日にかけて肉眼黒点になっていた923黒点群が、
一回転してきたものではないかと思います。
11月8日の宇宙天気ニュースの太陽写真と、今日の太陽写真(12月5日)を比較してください。
11月8日は12月5日のちょうど27日前です。
ほとんど同じ位置に黒点が見えているのが分かります。


フレアに伴って、太陽放射線(太陽から飛んで来た、非常に高速のプロトン粒子)がいくらか増加しています。
増加は6日0時(世界時5日15時)頃から始まり、現在、4PFU程度です。
衛星への警戒レベルは10PFU以上と言われています。

フレアが太陽の東端で起こったため、太陽放射線は地球へは届きにくい状況にあります。
そのため、フレアがたいへん大規模だったわりに、大きな増加になっていないのです。
太陽放射線は今後もゆっくりと増加を続ける可能性があります。
今後の変化に注目する必要はあるでしょう。


また、これだけの規模のフレアですので、
CME(太陽ガスの放出現象)もかなり激しく発生したと思われます。
状況をSOHO衛星のLASCOカメラで見たいところなのですが、12月4日以降画像の更新が止まっています。
これは事故ではなく、SOHO衛星の運用の関係で、現在データが得にくい状態にあるのです。
EITカメラの更新が軒並み停止しているのもその影響です。
LASCOについては、4日までは更新が続いていたのですが、
それ以降は、更にデータが得にくい状態になっているのかもしれません。
更新が再開されるまで、しばらく待つしかありません。

今回は、CMEの発生箇所が地球から見て真横なので、飛び出したガスも大半は横方向へ飛んでいるはずです。
ですので、地球への影響は、全体として見れば最小限に留まるはずです。

今日の1枚目のフレアの動画を見ていると、フレアの輝きの直後に、
CMEに相当する太陽ガスの噴出が写っているように見えます。
地球へやって来るとすれば、右端に向かって飛び出しているガスになりますが、
フレアの規模が大きかっただけに、こちら側へも十分に飛び出しているように見えます。
恐らく、ある程度の規模の衝撃波はやってくるのではないでしょうか。
今夜から明日いっぱいにかけて、太陽風の変化に注目する必要はあると考えます。



さて、なかなか今日は忙しいです。
太陽風は、コロナホールによる高速風領域に変わりつつあります。
ACEの図を見ると、磁場強度がじわじわと強まって、2nTから10nTへ上昇しています。
速度も既に上がり始めていて、300km/秒から、現在は450km/秒近くに達しています。
磁場強度が強まったままですので、速度の上昇はまだ続くと思われます。

前周期は、最高速度は650km/秒にまで達しました。
今回も、コロナホールは大きな姿をしていますので(今日の2枚目の写真を参照してください)、
同程度の上昇が起こるのではないでしょうか。
明日、明後日にかけて、速度の変化に注意してください。

太陽風磁場の南北成分は、現在南寄りの傾向を強めていて、
-5〜-10nTとやや大きめの南向きになっています。
速度が上昇し始めていることと重なって、活発なオーロラ活動につながりそうです。
今後の変化に注目してください。
磁場強度が強まっていると、大きな南向きが現れやすくなり、
磁気嵐、オーロラなどを活発化させる要因となります。

2006/12/ 6 19:34 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります
太陽では活発なフレア活動が続いています。
今朝、6日10時半(世界時1時半)にM1.3の中規模フレアが発生したとお伝えしましたが、
夕方、6日17時(世界時6日8時)にもM6.0の中規模フレアが発生しました。
発生箇所は太陽の東の端(左端)の活動領域です。

昨日のX9を含めて、活発に発生しているフレアの発生源を、
今朝のニュースでは929黒点群と書きましたが、
それは間違いで、930黒点群が正しい番号でした。
929黒点群は、930黒点群の右上にある、もっと小さな黒点群です。
太陽写真ではほとんど識別することができず、誤ってお伝えしてしまいました。

930黒点群は、やがてはっきりと姿を見せてくれるでしょう。
引き続き活発なフレア活動に注意が必要です。


太陽放射線は、ゆっくりと増加を続けています。
現在、6PFUに達しつつあります。
警戒ラインは10PFUですので、まだ下回っていますが、
注目を続ける必要があります。


太陽風は、ゆっくりとですが、速度上昇が続いています。
現在、速度が450km/秒を超えつつあります。
これはフレアの影響ではなく、コロナホールによるものです。
磁場強度は、10nTに強まったままですので、高速風は更に強まるでしょう。

また、太陽風磁場が大きく南を向く傾向が見えています。
現在も、-10nTが2時間ほど続いています。
極域では活発なオーロラ活動が発生しているでしょう。
このまま強い南向きが続いたり、速度が一段と上昇したりすると、
磁気圏の活動も激しくなります。
磁気嵐が発生するなど、こちらにも注意が必要です。

2006/12/ 7 09:00 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります
今日の未明、7日3時半(世界時6日18時半)にX6.5の大規模フレアが発生しました。
930黒点群はたいへん活発なフレア活動を続けています。

また、太陽放射線が警戒ラインを超え、30PFUに達しています。
引き続き増加中で、衛星の運用では注意が必要な状態です。

詳細は後ほどお伝えします。



GOES13衛星のX線カメラで撮影したX9.0の非常に大規模なフレア。5日19時半(世界時5日10時半)に発生した。
(c) NOAA/SEC


GOES13衛星のX線カメラで撮影した太陽の様子。12月1日2時(世界時11月30日17時)。元の写真はやや左に傾いています。
(c) NOAA/SEC


GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



27日の太陽周期に合わせたデータプロット
太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。
(c) NICT
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr
太陽X線
○はM以上
太陽風速度
km/sec
セクター
Bx (nT)
IMF Bz,Bt
nT
沖縄変動
nT
沖縄短期変動
nT
静止軌道電子
/cm^2 s sr

2006/12/ 6 19:34 追加

GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC




2006/12/ 7 09:00 追加

GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。