宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
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当時「情報通信研究機構宇宙環境計測グループ」よりお届けした記事です |
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太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
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2006/ 7/10 10:35 更新 CMEによる太陽風の乱れが来ました。速度が450km/秒に上昇した程度で、乱れは小規模です。磁気圏は静穏です。 担当 篠原 ACE衛星の観測によると、10日6時(世界時9日21時)に、太陽風の衝撃波が到来しました。 6日に発生したCME(太陽ガスの放出現象)によるものです。 規模は小さくて、太陽風の速度は350km/秒から450km/秒に上昇し、 磁場強度は3nTから10nTに強まった程度です。 太陽風のプラズマ密度(橙色線)も、1個/ccから10個/ccに増加しています。 衝撃波の地球への到着は、30分ほど遅れて10日6時半(世界時9日21時半)頃になっています。 沖縄のグラフで、磁場強度が急に強まっているところが、衝撃波の影響です。 より高速で密度の高い太陽風が地球の磁気圏に衝突して、磁気圏を圧縮します。 このため、地上の磁場の強さが変化するのです。 沖縄では30nTほど変化しています。 磁場の強まり方がだらだらと上がっていて、切れのいい変化になっていません。 衝撃波が弱いものだったためでしょう。 高速風が運んで来た太陽風磁場の南北成分は、大きく変動していますが、概ね北寄りです。 このため、磁気圏への影響はとても小さくなっています。 AE指数にはたいした変化は見られません。 もっとも、南を向いていたとしても、速度がそれほど上がっていませんので、 磁気圏の乱れは限定的だったでしょう。 CMEによる太陽風の乱れは小規模ですので、今日のうちに収まってしまうと思われます。 衝撃波の影響は、GOES衛星が観測している放射線帯の高エネルギー電子のグラフにも見えています。 小幅ですが、GOES11の青線が急に強まっているところがあります。 この頃GOES11衛星は、磁気圏の圧縮の影響を最も受けやすい、ほぼ真昼の位置にありました。 SOHO EIT284で見えるコロナホールが興味深い姿になっています。 これまでの写真では、南寄りの小さなコロナホールしか見えていなかったのですが、 今日の写真ではもっと広く、北半球側にまで広がったコロナホールとして見えています。 珊瑚礁の島にある、環礁の様な姿に見えます。 周囲の明るいコロナガスの関係で、これまでは良く見えていなかったのでしょう。 (以前の写真でも、ぼんやりとした姿はありました) この程度の広がりを持ったコロナホールであれば、 27日前の前周期に、4日間にわたって高速風が続いたのも理解できそうです。 このコロナホールによる高速風の到来は、明日、11日から12日にかけて始まると予想されます。 前回は600km/秒近い高速風が4日間続きました。 太陽風磁場が南寄りに変化すると、オーロラ活動が活発になったり、 小規模の磁気嵐が発生することがあります。 太陽写真では、898黒点群が西側に没しつつあります。 残るのは小さな899黒点群のみです。 久しぶりに発生したにぎやかなフレア活動も、これで終わりとなりそうです。 SOHO衛星のEIT284カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化 (c) NOAA/SEC 27日の太陽周期に合わせたデータプロット (太陽風版) 太陽が同じ面を地球に向けていた27日前の変化から、今後を予想することができます。 (c) NICT
(c) SOHO (ESA & NASA) GOES衛星の太陽X線データ (c) NOAA/SEC | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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