宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2005/ 1/19 12:01 太陽風が非常に高速です(950km/秒)。オーロラはたいへん活発ですが、磁気嵐はあまり発達していません。また、太陽放射線は次第に減少しています。
2005/ 1/19 20:25 太陽風磁場の南向き傾向が続いています。オーロラ、磁気嵐共に激しくなるかもしれません。また、X1.5の大規模フレアが発生しています。
2005/ 1/20 10:43 太陽風は現在もとても高速(700km/秒)です。オーロラ活動も活発です。放射線帯の高エネルギー電子が増加しています。
2005/ 1/20 18:36 X7.1の非常に大きなフレアが発生しました。太陽放射線の強度が再び急増しています。オーロラの活動は穏やかになっています。
2005/ 1/21 13:14 昨日X7.1の非常に大きなフレアが発生しました。太陽放射線が増加しています。磁気圏は穏やかになってきました。
最新のニュース

2005/ 1/22 13:00 更新
太陽風の衝撃波が到来し、大規模な磁気嵐が発達しています。太陽風はとても乱れており、磁気嵐が更に発達した場合、低緯度オーロラが発生する可能性があります。
2005/ 1/22 19:00 追加 
太陽風磁場の南向きはほとんど強まらず、磁気嵐の発達は起きていません。太陽風は依然高速です(770km/秒)。

担当 篠原

昨夜、22日2時(世界時21日22時)に太陽風の衝撃波が地球に届きました。
太陽風の速度は600km/秒から950km/秒に急上昇し、
磁場強度も約30nT(最高40nT)に強まっています。
どちらも非常に高い値です。
特に太陽風の磁場が衝撃波の先頭部分で大きく南を向いていました
(ACEデータの赤線がマイナスを向いている)。
南向きは最大で-30nTにも達しています。

このため、地球磁気圏は非常に大きな影響を受けています。
九州大学宙空環境研究所久住観測データを参考にすると、
衝撃波到来時に現れるscと呼ばれる磁場強度の増加現象の振幅が、
150nTと非常に大きくなっています。
その後磁場強度は急激に低下し、磁気嵐が発達した事を示しています。
磁気嵐の強さはこの時点で最大で-230nTにも達しています。
その後は、やや安定した状態を保っています。

今回の衝撃波は、20日15時半(世界時20日6時半)に発生した、
X7.1の非常に大きなフレア(太陽爆発)によるものです。
発生源の720黒点群の位置は既に西に傾いていたため、
放出されたガスの中心は太陽の西方向に向かっていたと思われます。
従って、地球へ届いたのはそのガスの周辺部だったはずです。
それでもなおこれだけの太陽風擾乱を起こしていますので、
太陽爆発がいかに巨大なものだったかというのが良く分かります。
発生が数日早まっていて、地球の正面に位置していた場合は、
現状を遥かに凌ぐ、猛烈な擾乱が発生していた可能性があります。

この週末、定期点検のためNICTが停電になっており、
参照できる最新データが限られており、状況の把握がやや困難になっています。
GOES衛星による磁場観測のデータをご覧下さい。
図の中心付近の激しく変化している部分にマイナスに飛び出している時間帯があります。
最大で-150nTに達していますが、
これは太陽風の影響で磁気圏が次々にはぎ取られ、
静止衛星が磁気圏の外側へ飛び出してしまった事を示しています。
それほど激しい太陽風の乱れだったのです。

また、米国のNOAA/SECが発表しているK指数(磁気圏の乱れの度合いを示す)予測値の図をご覧下さい。
衝撃波が到来した後、赤のグラフが連続しています。
オーロラ活動が活発化し、磁気圏が非常に激しく乱れている事を示唆しています。

さて、ACE衛星の太陽風データを見ると、
現在も速度が800km/秒と非常に高速で、磁場強度も20nT強と大変強い状態が続いています。
現在、磁場の南北成分がほぼ0付近にありますが、
この値が南向きになると、磁気圏の乱れは更に活発になります。
磁場強度が大きいため、南向きも大変強くなる可能性があります。
その場合は、磁気嵐も一層強まるでしょう。

高速風が続いている間は、注意が必要です。
今後大きく南を向いて、磁気嵐が更に発達した場合、
北海道などで低緯度オーロラが観測される可能性があります。
ただし、今日は月が満月にかなり近く、月明かりが観測を邪魔しそうです。

2005/ 1/22 19:00 追加 (篠原) 関連の図はページの最後にあります
太陽風の磁場はその後も0付近を変化していて、大きな南向き成分は現れていません。
このため、磁気嵐の大きな発達は起きていません。
九州大学宙空環境研究所久住観測データによると、
磁場強度は回復に向かっている様です(青線が上昇している)。

太陽風の擾乱は次第に弱まっています。
現在、速度は770km/秒、磁場強度は15nT程度です。
しかし、数値としてはどちらも依然乱れた状態です。引き続き注意が必要です。
太陽風磁場が大きく南を向いた場合は、再び活発な活動が始まるでしょう。

今回の擾乱に続いて、コロナホールの影響が明日から始まると思われます。
太陽風はある程度の高速状態で安定し、数日間継続すると予想されます。

一方、太陽放射線はすっかり低下して、20PFUにまで下がっています。



ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



久住の磁場データによる、静止衛星軌道における磁場の変化
青い線が下へ下がるほど、磁気嵐が発達している事を示しています
(c) 九州大学/SERC



GOES衛星による、静止衛星軌道における磁場の変化
(c) NOAA/SEC



NOAA/SECによる、K指数(磁気圏の乱れの度合いを示す)予測値
(c) NOAA/SEC




2005/ 1/22 19:00 追加

ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



久住の磁場データによる、静止衛星軌道における磁場の変化
青い線が下へ下がるほど、磁気嵐が発達している事を示しています
(c) 九州大学/SERC



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。