宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです) |
|
当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です |
|
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。 |
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
2005/ 1/21 13:14 更新 昨日X7.1の非常に大きなフレアが発生しました。太陽放射線が増加しています。磁気圏は穏やかになってきました。 担当 篠原 昨日、20日15時半(世界時20日6時半)に、X7.1の非常に大きなフレア(太陽爆発)が720黒点群で発生しました。 720黒点群による一連の活動の中でも最大のフレアです。 フレア直後から太陽放射線(高速のプロトン粒子)が地球に飛来しています。 GOES衛星のデータでは再び1000PFUを越える(赤線)非常に強いプロトンイベントになりました。 現在は200PFUまで低下していますが、 高レベル状態が5日に渡って続いており、人工衛星への影響が懸念されます。 X7.1フレアのX線画像の動画を掲載しています。GOES衛星が撮影しました。 大規模なフレアですので、CME(太陽ガスの放出現象)の発生が予想されますが、 太陽放射線の激増により、"Snowstorm"(吹雪)と呼ばれる 雪の様なノイズがSOHOの画像を埋め尽くしてしまいました。 そのため、CMEの様子がほとんど分かりません。 唯一、LASCO C2カメラで西方向に飛び出しているガスが撮影されているコマが1枚ありました。 LASCO C2カメラでも、次の撮影ではノイズで埋め尽くされています。 フレアの発生源である720黒点群は、かなり西に傾いています。 このため、写真で見られた通り、CMEは主に西方向へ飛びます。 ただし、フレアが非常に大規模であったため、地球方向へもいくらか広がって来ている事も考えられます。 地球へ影響が及ぶとすると、明日、22日の昼から夜にかけてになるでしょう。 ガスの周辺部にあたりますので、大規模な太陽風の乱れにはならないと思われます。 太陽放射線の影響で、ACE衛星の太陽風観測に支障が出ています。 太陽風の速度は依然観測できていません。 SOHO衛星のデータを参考にすると、550km/秒程度まで低下している様子です。 太陽風磁場は強度が5nTと通常レベルに戻り、南北成分はほぼ0付近に留まっています。 速度が下がったためもあるのでしょう、AE指数のグラフを見ると 一時的に強まった時間帯はありますが、ほとんどは500nT以下の小規模な活動が見られた程度です。 磁気圏活動の低下に伴い、沖縄の磁場強度も静穏レベル(青い横線)にゆっくり戻って来ています。 今回の擾乱は、100nT程度の普通の規模の磁気嵐で終わりました。 太陽風の今後を予想する事は難しいのですが、しばらくは更に穏やかになっていくと思います。 明日到来するかもしれないCMEの影響と、 明後日以降のコロナホールの影響(SOHO EIT284の太陽画像参照)が今後の擾乱要因です。 放射線帯の高エネルギー電子は現在も高い密度が続いています。 GOES10,12衛星の観測では、警戒ラインと呼ばれる10の4乗の線をどちらも越えています。 衛星運用では、こちらに対しても注意が必要でしょう。 GOES衛星が観測したX7.1の大規模太陽フレア。20日15時(世界時20日6時)。 (c) NOAA/SEC SOHO LASCO C3カメラが撮影した、X7.1太陽フレア後の放射線によるSnowstorm(吹雪)。 (c) SOHO (ESA & NASA) SOHO衛星のEIT284カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
SOHO衛星のLASCO C2カメラの映像 (c) SOHO (ESA & NASA)
GOES衛星の太陽X線データ (c) NOAA/SEC SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点 (c) SOHO (ESA & NASA) GOES衛星の太陽放射線データ (c) NOAA/SEC ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分) および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線) (c) NOAA/SEC リアルタイムAE指数 下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。 (c) 京都大学, NICT 沖縄の磁場擾乱 下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。 (c) NICT GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化 (c) NOAA/SEC | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|