宇宙天気ニュース (これは過去のニュースです)

 
当時「情報通信研究機構宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です
太陽フレア・磁気嵐・オーロラ活動など、宇宙天気の最新情報をお知らせするページです。

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これまでの経過 (過去のニュースの全リスト)
2005/ 1/17 10:33 間もなく最初の太陽風衝撃波が届き、磁気嵐など活発な変動が始まるでしょう。また、太陽風の南向き磁場が強まっています。
2005/ 1/17 23:01 太陽風が一段と高速になり、オーロラが非常に活発になっています。また、X4.2の非常に大きなフレアが発生しました。
2005/ 1/18 10:35 昨夕、X3.8の大規模フレアが発生しました。太陽風は高速状態で、非常に活発なオーロラ活動が度々発生しています。
2005/ 1/19 12:01 太陽風が非常に高速です(950km/秒)。オーロラはたいへん活発ですが、磁気嵐はあまり発達していません。また、太陽放射線は次第に減少しています。
2005/ 1/19 20:25 太陽風磁場の南向き傾向が続いています。オーロラ、磁気嵐共に激しくなるかもしれません。また、X1.5の大規模フレアが発生しています。
最新のニュース

2005/ 1/20 10:43 更新
太陽風は現在もとても高速(700km/秒)です。オーロラ活動も活発です。放射線帯の高エネルギー電子が増加しています。

担当 篠原

/// とても長文になっています。図を別に開いて、比較しながら本文をお読み下さい。
/// また、動画を3点掲載しています。

昨夜のニュースで、太陽風磁場の変化によって磁気圏活動が更に活発化する可能性を記しましたが、
太陽風磁場が大きく南を向く事はありませんでした。

ACE衛星の観測によると、
太陽風磁場は19日17時(世界時19日8時)から19日23時(世界時19日14時)にかけて
-5nTの南向きが継続し、その後も小さいもののやや南向き傾向で推移しました。
その間、太陽風の速度も800km/秒前後と大変高速だったため、磁気圏に強くエネルギーが流入し、
非常に激しいオーロラ活動が発生しました。
AE指数のグラフを見ると、1500nTから最大で3000nTに達する猛烈な変化が観測されています。

一方、強く南を向く事は無かったため、大規模な磁気嵐の発達は起こりませんでした。
沖縄の磁場変化を見ると、最大で-110nTの減少と普通の規模の磁気嵐に留まっています。
(赤線が青の横線から下がるほど、磁気嵐が発達したことを示します)

現在の太陽風は、速度が緩やかに低下を続け、700km/秒にまで下がりました。
それでも、とても高速な状態です。
太陽風磁場の強度は約8nT。
最新の部分では北向きになっていますので(ACEデータの赤線がプラスになっている)、
一旦オーロラ活動は低下しそうです(北向きになると、エネルギーの流入が止まる)。
しかし、磁場の方向が再び南寄りに変わると(ACEデータの赤線がマイナスになる)、
高速風が続いている間はオーロラ活動も活発になります。
太陽風の速度が下がりきるまでは(500km/秒を切るまで)、注意が必要です。

さて、今日のニュースの最初の部分で、動画を3枚紹介しています。
1枚目は、今回の主役である720黒点群の発達の様子です。
太陽面のこちら側で急激に発達した様子が良く分かります。
720黒点群は依然大きな規模を保っています。

2枚目は、GOES衛星のX線カメラによる17日18時(世界時17日9時)のX3.8の太陽フレア(太陽爆発)です。
今回の最大のフレア活動です。

3枚目は昨日観測されたX1.5の大規模フレアに伴うCME(太陽ガスの放出現象)です。
720黒点群は昨日、19日17時(世界時19日8時)にもX1.5の大規模フレアを発生させました。
これに伴って観測されたCMEの様子です。
720黒点群は太陽の中心を過ぎ、既に西に傾いています。
このため、放出されたガスも大半は西に飛び出しています。
地球への影響はほとんど見られないのではないでしょうか。
太陽風に変化があるとすると、明日の午後から深夜にかけてと予想されます。

このフレアによる太陽放射線の増加はほとんど観測されませんでした。
ただ、ここまでの放射線レベルが高かったたので、変化が埋もれてしまったのかもしれません。

一方、磁気圏内の放射線帯高エネルギー電子の密度が急増しています。
GOES10、GOES12衛星の観測によると、両衛星とも警戒レベルと言われる10の4乗の線を越えています。
高速風が続いていますので、今後更に増加する可能性があります。
衛星の運用では、引き続きこちらへの警戒が必要になるでしょう。

最後に、この数日CMEによる太陽風擾乱が続いていますが、
その間にコロナホールが太陽面のほぼ中心にやってきました。
SOHO EIT284の太陽画像をご覧下さい。
23日頃からこのコロナホールの影響で太陽風の速度が上昇する可能性があります。



SOHO MDIカメラが捉えた720太陽黒点群の発達の様子。1月10日〜19日。
(c) ESA & NASA


GOES衛星のX線カメラが観測した、17日18時(世界時17日9時)のX3.8の太陽フレアの動画。
(c) NOAA/SEC


SOHO LASCO C3カメラが捉えた、19日18時(世界時19日9時)のCME(太陽ガスの放出現象)。
(c) ESA & NASA


SOHO衛星EIT284カメラの映像
(c) SOHO (ESA & NASA)

最新映像


ACEが観測した太陽風の磁場(1番上の枠、白線は全体の強度、赤線は南北成分)
および、太陽風の密度(3番目の橙線)、速度(4番目の黄線)
(c) NOAA/SEC



リアルタイムAE指数
下段のAEグラフの値が高くなると、オーロラ活動が活発化しています。
(c) 京都大学, NICT



沖縄の磁場擾乱
下へ下がるほど、擾乱が発達している事を意味します。
(c) NICT



GOES衛星の太陽X線データ
(c) NOAA/SEC



SOHO衛星のMDIカメラによる太陽黒点
(c) SOHO (ESA & NASA)



GOES衛星の太陽放射線データ
(c) NOAA/SEC



GOES衛星による、静止衛星軌道における高エネルギー電子の変化
(c) NOAA/SEC





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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。