立ち上がらない第24期 --2009年を迎えて--

2009年 2月17日作成 宇宙天気ニュース 篠原 学


2009年も2月に入りましたが、黒点はさっぱり増える気配を見せません。
1月中頃には、小さいとはいえ黒点群が続けて現れ、
いよいよかとも思われたのですが、それ以降はさっぱりです。

ここまでの、第23期〜第24期の太陽活動極小期の動きを、振り返ってみましょう。
ここで使用している太陽黒点相対数のデータは、SIDCによるものです。


先ず、この2年間の、月ごとの無黒点日数を調べてみましょう。
これは、2008年11月3日の記事の続きです。
日数の色は、数が増えるほど赤みが増す様に変えています。

2006年無黒点日数
11月3日
12月8日
2007年
1月0日
2月6日
3月15日
4月22日
5月4日
6月11日
7月9日
8月9日
9月22日
10月28日
11月24日
12月13日
2008年
1月19日
2月22日
3月17日
4月20日
5月21日
6月17日
7月29日
8月29日
9月26日
10月21日
11月18日
12月28日
2009年
1月25日

この表によると、2007年9月から、無黒点の日が目立つようになりました。
2008年の7、8月は、2ヶ月連続で29日を記録しています。
その後の、10月、11月に、無黒点日が減ったことから、
この辺りが極小の頂点だったのか?とも思われたのですが、
12月に再び28日を記録し、
2009年1月も25日に達して、再び無黒点の日が続く様になりました。

この表から考えると、極小期はまだまだ続いている様です。


ところで、2008年の無黒点日数は、通算で266日に及びました。
これは、100年ぶりの多さです。
1860年以降の過去150年の記録から、無黒点日が多かった年の記録を挙げてみましょう。

1.1913年311日
2.1901年287日
3.1878年280日
4.2008年266日
5.1902年257日
6.1912年254日
7.1933年240日
8.1954年229日

すると、表の上位は100年も昔の記録ばかりです。
第8位の1954年が最も新しいのですが、それでも50年も前の記録です。
こんな中で、2008年は第4位に入ったのです。
今回の極小期の静かさが、近年の太陽活動に見られないレベルであるということがよく分かります。

[注意]
この表は、過去150年間の集計であることに注意して下さい
これ以前の黒点数の記録は、欠測の日が増えるため、無黒点日数の比較ができないのです。

1860年以前の黒点活動の傾向としては、比較的規模の小さい山が目立ちます(下の図を参照)。
また、更にさかのぼると、マウンダー極小期という、極端に黒点が見られなかった期間もありました。

従って、この表から言えることは、今回の極小期が100年ぶりの静かさだということだけであって、
過去400年を振り返れば、もっと静かな期間もあったのです。



ここからは、黒点数の推移をグラフで見てみましょう。
2008年7月7日の特別記事と同様の構成で掲載していますので、
この時のコメントとも比べてみて下さい。
黒点数データは、SIDCの提供、ダウンロードは、spidr.ngdc.noaa.govを利用しています。
作図は、宇宙天気ニュースです。

初めに、1976年から現在まで、3活動周期分の太陽黒点の変化です(第21, 22, 23活動周期)。



黄色の小さな点は、1日の黒点相対数です。
そして、青い線は3ヶ月平均のグラフです。
10年程度の周期で、黒点数が大きく波打っていることが分かります。
これが、太陽の活動周期です。

2000年にピークを迎えた第23活動周期は、2003年頃からどんどん下がり続けています。
第23活動周期の黒点数の下がり方を、拡大してみましょう。



どこまでもひたすら下がり続けていて、なかなか反転して増加に向かおうとしません。
いつまで低い状態が続くのでしょうか。


ここで、1860年以降、約150年間の太陽活動の移り変わりを紹介しましょう。



第11活動周期以降、13周期分の山が見えています。
高さも形もそれぞれ違っていて、太陽の活動が一様ではないことがよく分かります。

それぞれの活動周期の違いを、直接比較してみましょう。
各太陽活動の期間は、NICTの亘氏のページを参考にしています。



この図は、第11活動周期から第23活動周期まで、
活動周期の立ち上がりを横軸の0年にそろえて、それ以降の黒点数の変化を比較したものです。
グラフは、1年平均値を使っています。
そのため、前のグラフほどの激しい変化はなく、比較的ゆるやかに変化しています。

第23活動周期は、赤線で示しています。

この図を見ると、活動周期ごとに、黒点数の高さが大きく変化していること、
継続期間も10年から12年あたりで変化していることが分かります。
どちらも、一定してはいないのです。

第23活動周期の赤線を見ると、山の高まりまでは普通の変化だったのですが、
下がりかたが長引いて、とうとう12年を超えています。
この13個の活動周期の中では、最長の周期となった様です。

第23活動周期の開始は、1996年5月でした。
このまま、13年に達してしまうのでしょうか?


では、最後に、1610年以降の全観測期間の黒点数のグラフを紹介しましょう。

データ : spidr.ngdc.noaa.govより。作図 : 宇宙天気ニュース


データは、1年平均値をプロットしています。

最初の10年ほどは、データがあまり揃っていないので、グラフがつぶれています。
しかし、1640年頃から1710年にかけてのグラフの低い時期は、
本当に黒点が観測されなかったのです。
この特異な期間は、マウンダー極小期として知られています。




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