10月28日、10月30日の巨大フレアと衛星・通信障害について

11/ 1 21:00 現在の状況についてまとめを作成しました

当時「通信総合研究所宇宙天気システムグループ」よりお届けした記事です



11/ 1 21:00更新

10月28日、10月30日の巨大フレアによって発生した磁気嵐は終息しました。
太陽風の磁場強度が下がり、速度も650km/秒まで順調に低下しています。
磁気圏の活動度は通常状態に回復したと考えられます。

世界時10月29日20時49分(日本時間30日5時49分)に発生したX10の巨大な太陽フレア以降、
大きなフレアは発生していません。
GOES衛星(NOAA)のX線データをご覧ください。
(c) NOAA/SEC

今回のフレアを発生させた活動領域(486)はかなり西に傾いてきました。
しかし、もうひとつの大きな黒点(活動領域488)とともに、太陽面裏側に回り込む11月5日頃までは注意が必要です。
これはSOHO衛星(ESA,NASA)MDIカメラによって撮影された太陽面です。
(c) SOHO (ESA & NASA)

GOES衛星(NOAA)の放射線データによると、太陽放射線は30日にX10フレアに伴って上昇しましたが、それ以降下降を続けています。
現在は、10MeV以上のプロトンフラックスは10PFUを切っています。
(c) NOAA/SEC

続いて、ACE(NASA)が観測した太陽風の磁場(1番上の枠)と太陽風の密度(3番目の枠)、速度(4番目の枠)の変化です。
太陽風の速度は更に低下し、650km/秒になりました。まだ、やや速い状態ですがほぼ通常レベルに戻っています。
太陽風磁場は5nT程度で、南向き成分はほぼ0の状態で安定しています。
磁場強度そのものが小さくなったので、今後南に向いたとしても極端な擾乱の発達は無いと思われます。
(c) NOAA/SEC

沖縄の磁場データより、磁気嵐の進行状況を示します。磁気嵐の最初の部分は既に図の外に出てしまいました。
現在の数値は磁気嵐開始前のレベルにもどっています。
世界時31日20時(日本時間11月1日5時)以降は静穏な状態が続いています。
(c) CRL

太陽風の速度がほぼ通常レベルに下がった事、太陽風磁場の強さも通常レベルに戻った事などから、
10月28日、10月30日の巨大フレアによって発生した磁気嵐は終息したと言うことができます。




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篠原 学( shino@kagoshima-ct.ac.jp )宛てお知らせ下さい。